蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~

5.未知の世界




翌日。

絢乃は名刺を片手に、石川町の駅へと降り立った。

この名刺に書かれている住所は、どうやら雅人の家らしい。

絢乃は駅の前にある周辺案内図で、どのあたりかを確認し、南の方へと歩いていく。

途中、『地蔵坂』と呼ばれる坂を上り、山手本通りに出る。

どうやら雅人の家はこの辺りらしいのだが・・・。


「・・・」


なんというか、どう見ても高級住宅街だ。

うろ覚えだが、この先には『港の見える丘公園』があったような気もする。

絢乃はきょろきょろと辺りを見回しながら、雅人の家を探した。

そして、5分後。


「・・・なに、ここ・・・」


絢乃は門の前で呆然と立ち尽くした。

それは一言でいうと『豪邸』だ。

煉瓦造りの門の向こうには、正面に同じく煉瓦造りの大きな建物があり、中庭を挟んでその右手に洗練された雰囲気の新しい家が建っている。

いわゆる『離れ』というものなのかもしれないが、『離れ』だけで普通の戸建ての規模だ。


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