蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~




絢乃は思わず叫んでしまった。

・・・ということは・・・。

あの鬼が、絢乃の上司になるということだろうか。

イヤだ、絶対にイヤだ。

絢乃は恐怖のあまり目尻に涙を浮かべ、ブンブンと首を振った。

そんなことになったら、自分はあの鬼の餌食にされてしまう。

蟻地獄に放り込まれるのと同じだ。

雅人は突然様子の変わった絢乃を、眉根を寄せてじっと見つめた。


「どうした、絢乃?」

「・・・っ・・・」

「お前は加納と仲がいいと思っていたが・・・・」


雅人の言葉に、絢乃は首が取れそうなほどにブンブンと首を振った。

そんな恐ろしい誤解をされていたのではたまらない。

雅人はそんな絢乃を驚いたようにじっと見つめていたが、やがてポンと絢乃の頭に手を乗せた。


「・・・よくわからないが、お前は加納の下では働きたくない、と。そういうことか?」


絢乃はコクコクと頷いた。


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