蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
二章
1.孤独の影
翌日の午後。
絢乃は休憩スペースで少し休んだ後、総務課の方に続く廊下を歩いていた。
今日は夕方から会議があるため、その準備をしなければならない。
会議が始まるまであと15分。
今日の会議で、どうやら雅人の件が明るみになるらしい。
───恐らく第一開発課は阿鼻叫喚に包まれるだろう。
殉死者が出ないといいけど・・・などと考えながら歩いていた、その時。
「・・・ちょうどいいところで会ったね、絢乃ちゃん?」
後ろから聞こえた声にギクッとして振り返ると。
卓海が、満面の笑みを浮かべて立っていた。
その華やかで爽やかな笑顔。
しかし笑顔の奥に隠れている鬼の悪気に、絢乃はヒィと身震いした。
「ちょっと来て?」
「・・・っ!」