蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
逃げる間もなく、ぐいと腕を引かれて柱の陰へと連れ込まれる。
はっと顔を上げた絢乃の目に映るのは・・・いつになく険しい目をした、卓海の表情。
「・・・土曜日。どうして断ったわけ?」
「・・・っ」
「アイツと一日中遊んでたわけ? ・・・何の遊びかはあえて聞かねぇけどさ?」
卓海はうっすらと笑いながらいう。
絢乃は呆然と卓海を見上げた。
アイツって・・・。
・・・卓海が何を言っているのかわからない。
けれど、この嫉妬と切なさに満ちた瞳は・・・
あの給湯室の時と、同じだ。
卓海は絢乃の肩を掴み、じっと見つめる。
「・・・オレの女だ、道具だと言ったところで、お前は知らないうちにフラフラとオレの手から離れていく」
「・・・っ、加納さん・・・」
「どうすればお前は、大人しくオレの手の中に納まっているんだろうな・・・・」
と、卓海が掠れた声で呟くように言った時。