蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
絢乃は驚き、眉を上げた。
これまで、雅人の彼女もここに来たのかなと漠然と思っていたのだが・・・
それが顔に出たのだろうか、家政婦はにこりと笑った。
「雅人様が女の方をここに連れてこられたのは、絢乃さまが初めてですわ」
家政婦の言葉に、絢乃は息を飲んだ。
雅人はこれまでの彼女をここに連れてきたことはないらしい。
なのに、そんなところに自分などが紛れ込んでしまっていいのだろうか。
「・・・さ、完成ですわ、絢乃さま」
「あ、はい。ありがとうございます・・・」
絢乃は礼を言い、ゆっくりと化粧台の椅子から立ち上がった。
そっとドアを開け、廊下に出る。
・・・と。
「・・・驚いたな。想像以上だ」
廊下の壁に寄りかかっていた雅人が、絢乃の姿を見るなり驚きの声を上げた。
雅人もパーティ用の、いつもより少しカジュアルでお洒落なスーツを身に着けている。