蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~



雅人はそんな絢乃をじっと見つめていたが、やがてくすりと笑った。

───その、色を帯びた切れ長の瞳。

大人の男の色気を感じるその笑みに、絢乃は思わず息を飲んだ。

そんな絢乃に少し顔を近づけ、雅人はその綺麗な形の唇を開く。


「あまり、俺の前で無防備な表情を見せるな。・・・付け入るぞ?」

「・・・っ!?」


絢乃はびしっと背筋を固まらせた。

・・・付け入る、って・・・。

口をパクパクさせる絢乃をしばし見つめた後、雅人は肩を揺らして笑った。

心の底から楽しそうな、その笑顔。

初めて見る雅人の笑顔に、絢乃は目を奪われた。

恐らく、からかわれたのだろうが・・・。

なぜか、胸がバクバクと動き出す。

なんだろう、これ・・・。


「もう少しで着く。降りる準備をしておけ」

「は、はい・・・」


車は首都高を降り、下道を走っていく。

絢乃は慌てて衣服の裾などを整えた。


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