蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~




絢乃は息を飲み、雅人の顔を見つめていた。

やがて雅人は絢乃の背にそっと手を回し、ゆっくりと歩き出す。


「・・・控室で少し休憩するぞ」

「あ、はい・・・」


絢乃は雅人にエスコートされ、廊下へと出た。

廊下は絨毯張りになっており、廊下の柱の脇には所々に花が活けられている。

絢乃は廊下に出た瞬間、内心でほっと息をついた。

・・・やはり、緊張していたらしい。

と、そのとき。


「・・・っ!」


突然つんのめり、絢乃は体勢を崩しそうになってしまった。

緊張のせいか、自分で思っていたより足が疲れていたらしい。

雅人はとっさに絢乃の腰に手を回し、体を支えた。

ふわりと香る、クールなグリーンノートの香り。


「・・・どうしたら何もない所で転ぶことができる?」

「・・・」


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