蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~



絢乃が『仮の婚約者』となってから、一週間。

雅人は絢乃と一緒の時間を過ごすたびに、どんどん自分が絢乃にのめり込んでいくのを感じていた。

───絢乃が、愛おしい。

想いは高まり、ともすれば何かの弾みで溢れ出しそうになる。

そう、さっきのように・・・。

けれど。


絢乃はまだ、自分をそういう対象として見ているわけではない。

たまに照れたような表情を見せるようにはなったが、二人の気持ちにはまだ相当の温度差がある。

それを思うと、胸が軋むように痛む。

・・・絢乃の心が、知りたい。

絢乃の心を最も占めているのは、誰なのか・・・。


雅人は片手で控室の扉を開け、中に入った。

・・・が。

中には誰もいない。


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