蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「・・・絢乃?」
雅人はトレーをテーブルに置き、部屋の中を見渡した。
・・・やはり、絢乃の姿はない。
雅人は訝しげに眉根を寄せた。
と、その時。
プルルッという音とともに、誰かの携帯が鳴った。
・・・絢乃の携帯だ。
雅人は液晶画面に表示された名前を見、背筋を強張らせた。
───『秋月慧』。
雅人の胸に、黒い嫉妬が広がっていく。
絢乃と同居している、絢乃の兄・・・・。
けれど彼は実の兄ではないうえ、絢乃に恋情を抱いている。
「・・・っ・・・」