蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
雅人がいつまで、絢乃を『仮の婚約者』にしておくつもりなのかはわからない。
けれど今の絢乃にとって、このポジションは辛いものに変わりつつあった。
いつ、雅人に終わりを告げられるのか・・・。
ふとした瞬間に、そのことを考えてしまう。
雅人のために、できるだけのことをしたいという気持ちはある。
けれどこの気持ちが大きくなりすぎたら、逆に雅人に迷惑をかけてしまう。
雅人はあくまで『仮の婚約者』でいることを絢乃に望んでいる。
それ以上の気持ちは・・・雅人にしてみれば、迷惑以外の何物でもないだろう。
・・・いつまでかは、わからない。
けれど雅人と一緒に居れるこの時間を、大事にしたい。
取締役会は二週間後と雅人は言っていた。
となれば、それまでは『仮の婚約者』として雅人の傍に居れるだろう。
けれどその先は・・・わからない。
絢乃は切ないため息をつき、自分のノートパソコンに視線を戻した。