蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「説明させてください。彼女は・・・っ」
「誰があの娘を駄目だと言った。駄目なのはお前だ、雅人」
「・・・っ?」
祖父の言葉に、雅人は息を飲んだ。
そんな雅人をちらりと見、武人は続ける。
「お前はあの娘に最も大事なことを言っていない。違うか?」
「・・・」
「あの娘は、自分が『仮の婚約者』であると言っていた。本物の婚約者が決まったら、身を引くつもりであると・・・」
武人はその目を細め、少し笑った。
そして祖父の目で雅人を見る。
「本当に『仮の婚約者』であれば、お前はわしに引き合わせようなどとは思わないはずだ。違うか?」