蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~




祖父の言葉に、雅人はぐっと手を拳に握りしめた。

・・・どうやら祖父は全てをわかっているらしい。

やはり老獪だ、と思いながら雅人は武人を見つめた。


「・・・もう、家柄で結婚という時代でもない。博人は反対するかもしれんが、お前がこれから歩く道で真に必要となるのは、心から信頼できる人間だ」

「・・・」

「この時代、一寸先は闇だ。そんな中を、お前は何万人という人間の運命を背負い導いていくことになる。それはお前が思っている以上に、過酷で孤独な道だ」


祖父の言葉が雅人の心に深く突き刺さる。

何十年も北條グループのトップで居続けた祖父の言葉は重く、深い。

───自分がこれから歩く道。

その重みを再認識する雅人に、武人は微笑して言う。



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