蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
絢乃は混乱しながら、金田に言われたとおり前方の方へと歩いて行った。
歩いていく間も、カシャッカシャッと、無数のフラッシュが光る。
そして、その光の先に・・・
雅人が、立っていた。
いつもより上品な、黒いスーツを身に着けたその姿。
きっちりと整えた髪も、眼鏡の奥の涼やかな瞳も、いつもと変わらない。
その姿を見、少しほっとした絢乃だったが、会場を見回して目を見開いた。
・・・これは。
ドレスアップした人々に混ざり、新聞や雑誌の記者だろうか、首からカードをぶら下げたたちが絢乃達にカメラを向けている。
そして、自分と雅人は今、会場中の全ての人の視線を浴びている。
会場の前に設えられた壇の上に置かれているのは、『婚約披露パーティ』の立札。
・・・これは、一体・・・。