蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
絢乃は指輪をそっと外し、ソファーの傍のサイドテーブルの上に置いた。
・・・何が何なのか、わからない。けれど・・・
仕事が終わった以上、ここにいるわけにはいかない・・・・。
絢乃はバッグから携帯を取り出した。
ここからどう帰ればいいのか調べるためだ。
・・・と、その時。
キィ、という音とともにドアが開いた。
はっと顔を上げた絢乃の目に、雅人の姿が映る。
雅人は携帯を手にした絢乃を見、眉根を寄せた。
・・・そして。
サイドテーブルに置かれた指輪を見た瞬間、その切れ長の瞳がクッと見開かれた。
「・・・っ、絢乃・・・」
雅人はつかつかと絢乃の前に歩み寄った。
・・・雅人の目によぎる、怒りと熱情。
絢乃は驚き、雅人の顔を見上げた。