蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~
「・・・慧君か?」
「・・・え?」
驚く絢乃の手から、さっと携帯が抜き取られる。
雅人は絢乃の携帯をパタンと閉じ、ソファーの上に放った。
そのままサイドテーブルの上に置かれた指輪を素早く手に取り、絢乃の左手首を掴む。
「・・・っ!?」
絢乃の左手の薬指に、雅人は強引に指輪を嵌めた。
絢乃は魂が抜けたように雅人を見上げていた。
・・・何が起こっているのか、わからない。
雅人は絢乃の両肩を掴み、ぐいと自分の前に引き寄せた。
「・・・俺とお前は、今日を持って正式な婚約を交わした」
「・・・え・・・」
「もう『仮』ではない。明日には新聞や雑誌に載るだろう。政財界にも広がるはずだ」