蜜愛シンドローム ~ Trap of Masato ~




雅人は真剣な声で言う。

絢乃は衝撃のあまり、頭がくらっとするのを感じた。

・・・正式な婚約、って・・・

あまりに突然で、何も考えることができない。

絢乃は震える唇を必死に開き、言った。


「・・・どうして・・・」

「どうして、か。理由はいろいろあるが、一番の理由は・・・」


雅人は言い、絢乃の両頬を手で包んだ。

じっと絢乃の瞳を覗き込む。

・・・その、真剣で真摯な瞳。

透き通った氷のようなその美しさに魅入られるように、絢乃はぼうっと雅人を見上げた。


「・・・お前を、離したくないと思ったからだ」

「・・・っ・・・」

「言っておくが、もう後戻りはできない。お前は俺の婚約者だ」

「・・・北條さん・・・」

「俺はお前を離したくない。だから繋ぎとめる」


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