蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
───卓海は、これまで女に恋したことはない。
女嫌いの自分が、女になど恋するはずがないと・・・無意識のうちに、そう思っていた。
しかし・・・。
卓海はぐっと手を拳に握りしめた。
こんなものが・・・・
こんなに醜い、気が狂いそうなほどの執着が、恋だと言うのか?
───自分でも目を背けたくなるほどに醜い、切ないまでの執着。
けれど・・・
心の奥底では、わかっていたような気もする。
絢乃に向けるこの感情は、もはや『ただの道具』に向けるものではない。
卓海の心の中では、絢乃はとっくに『ただの道具』ではなくなっていた。
呆然とする卓海を、千尋は心配そうに見上げている。
千尋ははぁと息をつき、口を開いた。