蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~




千尋は言い、ヒラヒラと手を振って玄関の方へと歩いていく。

卓海はその背を見つめながら、千尋の言葉を噛みしめていた。


───口に出して言わないと、伝わらない。


今のままでいても、こじれていくのは目に見えている。

であれば、はっきり伝えた方がいいかもしれない。

・・・絢乃がどう答えるかはわからない。

けれどもう・・・この気持ちから逃れることはできない。

卓海は決心し、ひとつ息をついてエレベーターのボタンを押した。


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