蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
───そう思った瞬間。
胸の奥から突き上がる想いが、卓海の心の中の何かを、一気に振り切った。
・・・それは、理性だったのか、それとも良心か・・・
卓海はその目に昏い光を浮かべ、ぐっと唇を噛みしめた。
───もう、壊すしかない・・・。
一度胸に湧き上がったその想いは、凄まじい勢いで卓海の胸に広がっていく。
絢乃を手に入れられないのなら・・・
絢乃が他の男のものになるのを見るくらいなら・・・・
完膚なきまでに、壊し尽くすしかない。
・・・もう、誰にどう思われようと・・・
絢乃に自分がどう思われようと・・・構わない。
昏い熱情が卓海の心を焼いていく。
卓海はその痛みに頬を歪ませ、その完璧な形の唇にうっすらと黒い笑みを浮かべた・・・。