蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「お前が淹れたお茶って初めてだな。・・・ちゃんと飲める茶か、これ?」
「粗茶です」
絢乃はぽそりと仏頂面で言った。
さすがに絢乃も茶の淹れ方くらいはわかっている。
卓海は絢乃の席の向かいに座り、お茶を一口飲んだ。
そこはいつも、慧が座っている席だ。
「お前も座れ。食うぞ」
「・・・はい」
絢乃は食器棚から取り出した皿と箸を卓海の前に置いた。
自分の前にも置き、惣菜を真ん中に並べる。
その中にポテトサラダがあることに気付き、絢乃は眉根を寄せた。
ポテトサラダの中には、緑の物が紛れ込んでいる。
・・・このくらいの量なら、飲み込めば大丈夫だろうか。
などと思った絢乃の向かいで、卓海が箸を片手に口を開く。