蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「で、だ。お前のこれまでの働きに免じて、今度の土曜、ランチをプレゼントしてやるよ」
「・・・え?」
「ついでに髪留めも返してやる。時間は11時、場所は宮崎平。いいな?」
卓海はそう言い、休憩スペースを出て行った。
絢乃は唖然とその背を見つめていた。
・・・もう、関係は終わったのに・・・
でも卓海に誘われたことを、心の片隅で嬉しいと思っている自分がいる。
卓海の言葉に、心揺れる自分がいる。
・・・もう、忘れなければならないのに・・・。
でもこれは、いい機会かもしれない。
これで多少なりとも関係を改善できればいい。
絢乃はひとつ息をつき、休憩スペースを出た。