蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
そして、土曜日。
絢乃はシフォンのチュニックにジーンズという格好で宮崎平の駅前に立っていた。
・・・こうしてここで卓海を待つのも、一か月ぶりだ。
これが最後だと思うと、絢乃の胸に切なさがこみ上げる。
やがて見覚えのある車が到着した。
「・・・浅草に、美味いグラタンを出す店がある。今日はそこに連れてってやるよ」
卓海は絢乃を助手席に乗せ、車を発進させた。
車は首都高に乗り、浅草方面へと走っていく。
絢乃は窓の外の景色を眺めていた。
・・・こうして卓海の車に乗るのも、一か月ぶりだ。
そして、今回が最後だ・・・。
「浅草にはわりと洋食屋が多い。参道を一歩裏に入ると、昔ながらの洋食屋があちこちにある」
「へぇ~・・・」