蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「宮崎平まで送ってやるよ。髪留めは降りるときに返してやる」
「あ、はい・・・」
「そこに水が置いてある。喉が乾いたら飲め」
卓海が指差した先に、ペットボトルの水が置いてあった。
グラタンを食べた後に歩いたせいか、少し喉が渇いている。
・・・そういえば、大江戸温泉に行った時も、こうして水を用意してくれてあったな・・・。
卓海はいつもは自分勝手で強引なのに、こういうところの気遣いは細やかだ。
と思いながら、絢乃はペットボトルの水を一口飲んだ。
しかし。
「・・・?」
なんだか、苦いような気がする。
気のせいだろうか。
と思い、もう一度飲んでみようとペットボトルを持ち上げかけた時。
───くらっ、と視界が揺れた。