蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~

2.壊してやるよ




ゆらゆらと、体が揺れる。

・・・宙に浮かんでいるような心もとなさに、不安になる。

やがて背中に、弾力のある何かが触れた。

ギシッと音を立てるそれは・・・・。


「・・・気が付いたか?」


聞き覚えのある、テノールの声。

───ずっと聞きたいと思っていた、この声。

絢乃は重い瞼をゆっくりと開けた。

すぐ目前にある、茶色がかった二重の瞳。

・・・吸い込まれてしまいそうな、瞳。


「・・・ここ・・・は・・・」

「ここか。ここはオレのマンションだ」

「・・・っ!?」



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