蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



「おい。ポテトサラダを親の仇でも見るような目で見てんじゃねぇよ」

「見てませんっ!」


卓海にキュウリ嫌いだと知られてしまったのは、やはり痛い。

卓海はポテトサラダと絢乃の顔をしばし見比べ、言った。


「・・・このくらいの量でもダメなのか? お前」

「いえ、このくらいならなんとか・・・」

「へぇ。・・・他にはあるのか? 嫌いなものは」


卓海の言葉に、絢乃は少し考えた後、ふるふると首を振った。

他には特にない。

卓海はふむといったように頷き、続ける。


「じゃあ好きなものは? お前は何が好きなんだ?」

「そうですね、グラタンとか・・・」


と言いかけた絢乃だったが。

そもそも、なぜ卓海がそんなことを聞いてくるのか。

絢乃は怪訝そうに卓海を見た。

卓海は煮物を自分の皿に取り分けながら、辺りを見回している。


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