蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
自分でも気づかないうちに切ない声が漏れる。
絢乃は胸に湧き上がる切ない痛みに、睫毛を震わせた。
・・・お台場の帰りにキスされた時とは少し違う、切なく甘い痛み。
痛みは涙となり、目尻からぽろりと零れ落ちる。
それを見、卓海の瞳がクッと歪んだ。
「・・・そんなに、泣くほどオレが嫌か?」
「・・・っ・・・」
「そこまで嫌われていたとはな。・・・オレがどんなに想っても、結局、お前は・・・」
切なげな声とともに、絢乃の襟元に卓海の手が触れる。
絢乃は反射的に背筋を固まらせた。
それを見、卓海が唇の端にうっすらと黒い笑みを浮かべる。
・・・切なさと哀しみに満ちた、その瞳。
いつもの黒い笑みとは違う、見ているだけで心が締め付けられるような、その微笑み。
体を固まらせた絢乃に、卓海は嘲笑うように言う。