蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



「『一生手放さない』って言っただろ。忘れたのか、お前?」

「・・・で、でも・・・っ」

「オレは言ったことは必ず実行するタイプなんだよ。・・・というわけでお前は今日からオレと一緒に暮らす。これはもう決定事項だ。文句は受け付けない」


決定事項って・・・。

絢乃はこの男が鬼であったことを思いだし、血の気が引いていくのを感じた。

いや、でも、しかし・・・。

混乱する絢乃に、卓海は思い出したように言う。


「あぁ、お前には言ってなかったが、慧にはもう連絡済みだ」

「え、ええっ!?」

「まるで納得してる様子じゃなかったから、今日あたり、殴り込んでくるかもしれねぇな。虎挟みでも用意しとくか?」


卓海は楽しげに言う。

それを見、絢乃は内心で思った。

・・・やはり卓海は兄の友人だ。

青ざめた絢乃の肩をポンと叩き、卓海は言う。


「さ、行くぞ。次は地下だ」

「は、はい・・・」


< 138 / 190 >

この作品をシェア

pagetop