蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~



一通り買い物が終わった後。

卓海は絢乃を連れ、駅ビルの1Fに入った。

1Fには化粧品の店やアクセサリーの店が並んでいる。

卓海はアクセサリーの店の前で足を止め、絢乃を振り返った。


「・・・絢乃、好きな髪飾りを選べ」

「えっ?」


驚く絢乃の前で、卓海は腕を組んで髪飾りの並んだ棚を見る。

・・・その、端整な横顔。


───昨日。

卓海は、絢乃が給湯室で無くした髪飾りを絢乃に返した。

それは無残にも壊れており、ボンドなどを使っても直せる状態ではなかった。

しゅんとした絢乃に、卓海は言った。


『明日、好きな髪飾りを買ってやる』



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