蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
その日の夜。
絢乃は自分のベッドに転がり、天井を見上げていた。
慧の熱は既に下がり、夕方から起き上がっている。
卓海が来たせいか機嫌はすこぶる悪いが、熱が下がったのは良かった。
あれから、卓海は一時間ほどマンションに居座った後、帰っていった。
昼食と、栄養剤を持ってきてくれたのは正直ありがたかった。
そのためにわざわざ車で一時間かけて来てくれたと思うと、感謝の気持ちが湧き上がる。
───あくまでそのことに関してだけ、だが。
しかし・・・。
水曜日に、給湯室で卓海が見せた、あの表情。
・・・そして、あの態度。
理由が知りたいような気もするが、面と向かって聞くのはなんとなく憚られる。
どちらにしても、あと一週間でお役御免だ。
次の週末さえ乗り切れば、自分は卓海から解放される。
絢乃ははぁと息をつき、ヘッドボードに寄りかかった。