蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~




───恐らく卓海は、それで絢乃をここに連れてきてくれたのだろう。

何というか、案外マメだ。

絢乃はしばし棚に並んだ髪飾りを見た後、卓海の前に歩み寄った。


「加納さん」

「なんだ? 決まったのか?」

「いえ。・・・あの、加納さんに選んでもらってもいいですか?」

「は?」


卓海は驚いたように目を見開いた。

・・・その、心底驚いたような顔。

しかしやがて、その整った顔に嬉しげな笑みを浮かべて絢乃を見た。


「わかった。・・・じゃあオレが選んでやる」

「あの。できたら会社でも使えるようなやつがいいんですけど。あと、冠婚葬祭でも使えるような・・・」

「・・・あのな。いきなりハードル上げるんじゃねぇよ」


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