蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
五章
1.社内恋愛
───年末。
仕事納めを翌日に控えた日。
絢乃は運用課の自席で、カタカタとキーボードを叩いていた。
今作成しているのは、RFPに対する各社の返答をまとめた資料だ。
年が明けたら、どの業者にするかを本腰を入れて考えていかなければならない。
「・・・」
絢乃は机の上に置かれた携帯を手に取り、開いた。
ピピッとボタンを押し、卓海からの指示メールを画面に表示する。
『12:10 社食の席をとっておくこと』
どうやら、今日は社食らしい。
絢乃はパタンと携帯を閉じた。