蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
その日の夕刻。
絢乃はマンションへの道を歩きながら、香織の言葉を思い出していた。
・・・このままでは、まずい。
というか朝の電車が一緒だとバレている以上、同棲していることもバレている可能性がある。
まだ香織だけで留まっていればいいが、これが課内に知られてしまったら・・・。
とんでもないことになってしまう。
会社ではもう少し距離を置くべきかもしれない。
・・・卓海が何というかはわからないが・・・。
卓海は日々、課員達の統率で忙しく、まともに休憩できているのは昼休みくらいだ。
その昼休みを別々に過ごそう、などと言ったら・・・
「・・・」
なんだかひどく恐ろしいことになりそうな気もする。
が、このままではまずい。
どうするべきだろうか・・・。
絢乃はうーんと首を捻りながら、マンションへの道を歩いて行った。