蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
その日の夜。
絢乃と卓海はコーヒーカップを片手にダイニングテーブルで向かい合っていた。
平日、卓海は仕事で忙しく、帰宅するのはだいたい22:00過ぎだ。
物流システムを引き継いだばかりの今は、猶更忙しいのかもしれないが・・・。
絢乃はまずレセプションの件について聞いてみた。
「・・・あれって、データベースを作っておけということですか?」
と聞いた絢乃に。
卓海は軽く首を振り、口を開いた。
「違う。お前、オレの同伴者としてパーティに出席しろ」
「・・・は?」
と目を丸くした絢乃に、卓海は続けて言う。
「レセプションパーティとはいえ、それなりに格式あるパーティだ。欧米のパーティでは、男女セットで参加するのが暗黙のマナーになっている」
「・・・え、そうなんですか?」
「今はさほどでもないが、来るのはドイツの役員連中だ。古めかしい奴らだから、皆、ペアで来るだろう」