蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海は昔から貿易システムに携わっていたため、英語とドイツ語を話すことができるが、自分は全く話すことができない。
肩を落とした絢乃の前で、助手席に座っていた香織がクスリと笑う。
「別にいいんじゃないですか? 基本的にただ立ってるだけですから」
「・・・」
その、険に満ちた言葉。
絢乃が卓海の同伴者としてパーティに出るということは、今日参加するメンバーには既に知らされている。
『課長命令だから』と主張はしたが、香織は納得していない様子だ。
やがて車は会場となるホテルへと入っていった。