蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~




卓海は昔から貿易システムに携わっていたため、英語とドイツ語を話すことができるが、自分は全く話すことができない。

肩を落とした絢乃の前で、助手席に座っていた香織がクスリと笑う。


「別にいいんじゃないですか? 基本的にただ立ってるだけですから」

「・・・」


その、険に満ちた言葉。

絢乃が卓海の同伴者としてパーティに出るということは、今日参加するメンバーには既に知らされている。

『課長命令だから』と主張はしたが、香織は納得していない様子だ。

やがて車は会場となるホテルへと入っていった。



< 163 / 190 >

この作品をシェア

pagetop