蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
『後で事情を説明してもらおう』
・・・卓海からだ。
ヒィと青ざめた絢乃の横で、それを横から覗き込んだ橋本さんも背筋を強張らせた。
「デモはなんとか終わったけど・・・これは後で課長に説明しないといけないな」
「・・・ですよね・・・」
「課長はパーティの後、二次会まで出るって言ってたから・・・その間に、原因を究明しといた方がいいよね・・・」
「・・・ですよね・・・」
既に絢乃にとっては、パーティに出ることよりこちらの方が気にかかる。
卓海の傍に香織が付き添っていると思うと嫉妬が胸をよぎるが、今はあくまで仕事中だ。
接続できなかった原因を調べておかねばならない。
橋本さんは大きく息をついた後、ノートパソコンを手に立ち上がった。
「ずっとここにいるわけにもいかないから、上に行こうか?」
「上?」
「ホテルの部屋。確かLANが接続できたはず・・・」