蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
3.癒される傷
3分後。
上階の部屋に放り込まれた絢乃は、卓海を見上げつつ、じりじりと後ずさっていた。
部屋はどうやらシングル用で、後ろには既にベッドしかない。
青ざめながら後ずさる絢乃を、卓海は黒い魔笑を浮かべて見下ろす。
───まさに鬼だ。
「おい。・・・なぜ逃げる?」
「・・・っ・・・」
「さすがのお前もわかってるってことか? ・・・全くお前は、手のかかる道具だよ」
言葉とともに、卓海の手がトンと軽く絢乃の肩を叩く。
絢乃はベッドにころんと尻餅をついた。
そのまま後ずさろうとするが、すかさず卓海が絢乃の体の上に乗り上げる。
「なんでお前はそう無防備なんだ? ・・・オレが来なかったらどうなってたか、わかったもんじゃない」
「橋本さんは、そんなこと・・・っ」
「男を信用するな。・・・尤もオレも男だから、あまり他人のことは言えないけどな?」