蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海はくすりと笑い、絢乃の頬に手を伸ばした。
・・・その顔に浮かぶ、黒く優艶な微笑み。
どうしてこの男は、こんな表情ができるのだろう・・・。
思わずぼうっとする絢乃の真上で、卓海はネクタイの前を緩める。
大人の男の色気が漂うその仕草に、絢乃は一瞬引き込まれそうになってしまったが、卓海の意図を感じて慌てて首を振った。
「だめです、加納さん! ・・・早く戻らないと、橋本さんにヘンに思われ・・・」
「お前はそんなことを心配するより、別のことを心配した方がいいと思うがな?」
卓海はうっすらと笑って言う。
───その、黒くも艶やかな瞳。
その瞳がしだいに欲情の熱を帯びていくのを、絢乃はドキドキしながら見つめていた。
「どうしてパーティに来なかった? オレはお前にパーティに来いと言ったはずだ。なのになぜ、あの女が来た?」
「そっ、それは・・・っ」
「どうしてお前はオレの言うことを聞かない?」