蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~




「・・・もう何も心配するな、絢乃」

「・・・っ・・・」

「この先一生、他の男には触れさせねぇよ。お前はオレが護る」


卓海の言葉が絢乃の心を熱く溶かしていく。

胸が、熱くなる。

絢乃の目尻に浮かんだ涙に卓海はそっと口づけ、気分を変えるように少し笑った。


「・・・しかしお前、なぜ今まで言わなかった?」

「・・・え・・・その・・・」

「オレが聞かなきゃ、ずっと言わないつもりだったのか?」


卓海は絢乃の耳元で囁く。

・・・その、耳に響くテノールの声。

腰が砕けそうになる、その声。

しだいに色を帯びていくその声に、その瞳に、絢乃は内心で息を飲んだ。



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