蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「お前には、技術者としての素質がある。技術を磨けば、より高みを目指せるだろう」
「はい・・・」
「機会があるかどうかはわからないが、いつかまた、お前とともに仕事が出来たらと思っている。・・・精進しろ、秋月」
「はいっ!」
絢乃は強く頷いた。
本当にそういう機会が巡ってくるのかはわからないが、将来、機会があればまた一緒に仕事をしたい。
絢乃はこれまでの感謝を込め、じっと雅人を見上げていた。
その時。
横の方から視線を感じ、絢乃は眉を顰めた。
・・・見ると。
廊下の奥の方から、卓海が何やら楽しげな顔で歩み寄ってくる。
「・・・こんな所で、お二人で話すなんて珍しいですね?」
「・・・加納か」
「ひょっとして、愛の告白ですか? だとしたらお邪魔でしたかね?」