蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海は悪戯っぽく笑い、二人の顔を見比べた。
いつもの爽やかで優美な笑み。
・・・しかしその目は笑っていない。
内心で息を飲んだ絢乃の前で、雅人が呆れたように言う。
「本当にそうなら俺も場所くらいは考える」
「へぇ。ま、人生何が起こるかわかりませんからね?」
「・・・で、何だ、加納。秋月に用か?」
「ええ。データベースの件でね」
卓海の言葉に、雅人はそうかと言い踵を返した。
そのまま、第一開発課の居室の方へと歩いていく。
その背を見送りながら、卓海は口を開いた。
「・・・で? マジで愛の告白だったわけ?」
「ンなわけないじゃないですか・・・」
「どうだかな。・・・それにしても、とんでもない置き土産を残してくれたもんだ。どうすりゃいいんだ、あの連中」