蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
卓海はぼやくように言う。
さすがの卓海も一気に部下が増えたことに戸惑いを感じているらしい。
・・・それはそうだろう。
絢乃はうーんと首を捻り、言った。
「いいんじゃないですか? ・・・第一の課員の方々は、どちらかというと攻撃型というよりは受入型ですから。加納さんのその本性で行けば・・・」
「冗談じゃねえよ。あんなマゾ集団相手にそんなことしたら、鬱陶しいことになるのは目に見えてる」
「・・・」
───つまり。
卓海は第一の課員の前であの本性を見せるつもりはないらしい。
卓海はこう見えて、技術者としては一流だ。
裏モードを見せてしまったら、熱狂的な崇拝者が現れないとも限らない。
そうなると、卓海としては非常に鬱陶しいことになるのだろう。
ただ、ネコモードであの課員達をどこまで統率できるかというと、ちょっと微妙な気もする。
・・・と思った絢乃だったが、自分の上司も卓海になったのだということを思いだし、背筋を固まらせた。
そんな絢乃に卓海は顔を近づけ、くすりと笑う。