蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「ま、あいつらはともかく、お前がオレの部下になったってのはめでたい限りだね」
「・・・」
───めでたいと思ってるのはあなただけです。
と口から出かかり、絢乃はぐっとその言葉を飲み込んだ。
卓海は肩を揺すって笑い、意地悪げに絢乃を見る。
・・・その、黒い魔笑。
その繊細で端整な顔立ちのせいか、その黒さはより際立って見える。
「じゃあめでたいついでに、今週末の予約をしとくか。土曜の13:00に宮崎平。わかってると思うが一秒たりとも遅れないこと。いいな?」
「・・・」
「返事は?」
「・・・ハイ・・・」
───まるでめでたくない。
絢乃は内心でエグエグ泣きながら、こくりと頷いた・・・。