蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
絢乃は髪を手早く梳かし、じっと鏡の中を覗き込んだ。
・・・どんな髪型がいいだろうか。
下ろした方がいいだろうか、それともシュシュで結んだ方がこの服には似合うだろうか。
「・・・」
・・・って、なんでそんなことを一生懸命考えているのか。
強制的で義務的なデートのはずなのに・・・。
なぜか、鏡の前で心が浮き立っている自分がいる。
・・・久しぶりに髪型とか考えたから、気分が高まっているだけだろう。多分。
絢乃はそう自分に言い聞かせながら、横髪を後ろで束ね、シュシュで留めた。