蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
思わずドキッとし視線を逸らした絢乃の頭の上で、卓海がその二重の瞳を細め、怪訝そうに壁を見る。
その視線の先に書いてあった案内を見───絢乃はヒィと息を飲んだ。
『露天風呂付き客室 2名様用(貸切)』
こ、これは・・・。
自分がどこに行こうとしていたのかを知り、絢乃は青ざめた。
そんな絢乃の肩を、卓海がぐいと掴む。
───その、どことなく色を帯びた瞳。
ひっと背筋を強張らせた絢乃にぐいと顔を近づけ、卓海は嫣然と笑った。
全身に漂う大人の男の色気に、鬼だと分かっていてもついドキッとしてしまう。
「・・・なに、お前。オレを誘ってんの?」
「ちっ、違・・・っ」
「いくら道具に手を出さないって言っても、こんなところに入ったらやることは一つだろ?」
「だからっ、違・・・っ」
「しかもお互い浴衣で、湯上りだ。シチュエーションとしては最高だな?」
「そっ、そんなつもりじゃ・・・っ」