蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
一時間後。
外にある足湯スペースで足湯を楽しんだ後、二人は大江戸温泉物語を出た。
───ここに来たのは初めてだが、とても楽しかった。
既に陽は傾き、木々の影が長く伸びている。
時計を見ると、16:00だ。
車に戻り、助手席に座った絢乃に、卓海が言う。
「そこに水が置いてある。喉が乾いたら飲め」
見ると、助手席のドアのところに、ペットボトルの水が置いてある。
・・・風呂上がりの体には、正直とても嬉しい。
こういう気遣いもできるんだなと絢乃は驚きながら、ペットボトルを手に取った。
「次はパレットタウンだ。行くぞ」
パレットタウンというと、お台場の観覧車があるところだろうか。
絢乃は昔、大学の友達と2度ほど来たことがあるが、デートで行くのは初めてだ。
これが正常なデートかというと微妙ではあるが、どうやら卓海は今日はお台場で過ごすつもりらしい。
やがてデュアリスはゆっくり発進し、パレットタウンの方へと走っていった。