蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
2.鬼の本領発揮
15分後。
二人はパレットタウンの二階のデッキを歩いていた。
この先には観覧車と、ヴィーナスフォートというショッピングモールがある。
まじまじと観覧車を見上げる絢乃の横で、卓海が口を開く。
「・・・なんだ、観覧車に乗りたいのか、お前?」
「え、別に・・・」
「ナントカと煙は高い所が好きって言うからな?」
卓海の言葉に、絢乃はむっと眉根を寄せた。
別に、卓海と一緒に乗りたいわけではない。
それに、観覧車の中は密室だ。
・・・まあ、車も密室なので今更な感じはするが。
自分も卓海といることに慣れてきているということだろうか。
認めたくはないが。
「・・・別にいいです」
「行くぞ」
卓海は絢乃の手を取り、観覧車の方へと歩いていく。
───なんというか、相変わらず天邪鬼だ。