蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
夕日が沈む時間ということもあってか、観覧車にはそれなりに列ができている。
二人は5分ほど待った後、観覧車に乗った。
卓海の向かいに座った絢乃だったが、ぐいと手を引かれ、卓海の横に座らされた。
「・・・っ!」
「こっちの方が、夕陽が良く見えるだろ?」
卓海の言うとおり、こちらの席の方が海に沈む夕日が良く見える。
しかし・・・こうなると、なんだか本当にデートみたいだ。
思わず胸がドキドキしてしまう。
卓海は自分で遊んでいるだけだとわかっていても・・・。
卓海の体から香る甘く透明感のあるフゼアの香りが、さらに胸を高ぶらせる。
絢乃は気恥ずかしさを振り払うように、慌てて街並みの方に視線を投げた。
「うちの会社、見えますかね~?」
とわざと明るく言った絢乃の横で。
卓海はクッと黒い笑みを浮かべた。
「色気のカケラもないな、お前」
「・・・」