蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
3.絢乃の髪留め
やがて二人は車に戻り、絢乃は助手席に座らされた。
卓海はナビで絢乃のマンションをセットし、車を発進させる。
どうやら既にマンションの位置はナビに登録されているらしい。
車は首都高に乗り、湾岸線を走っていく。
途中、レインボーブリッジから見えるお台場と東京の夜景に、絢乃は目を輝かせた。
「すごい・・・っ」
冬で空気が澄んでいるせいか、遠くの方まで夜景が良く見える。
海の際から内陸の方まで、途切れることなく続く美しい光の海。
絢乃は食い入るように夜景を見つめていた。
普段、通勤で毎日都内に出てはいるが、こうして少し離れた場所から夜景を見ることはめったにない。
目を輝かせて夜景を見る絢乃の隣で、卓海がその瞳に柔らかな笑みを浮かべる。
「いつもは東京なんて、人は多いし通勤は殺人的だし、ろくでもねぇって思うけど・・・。やっぱ夜景だけは格別だな」
「そうですね」