蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
やがて車は東名高速に入り、途中の川崎インターで降りた。
そのまま宮崎平の駅の方面に向かう。
今日も慧を誤魔化して家から出てきたため、マンションまで送ってもらうわけにはいかない。
でも・・・。
卓海との一か月もこれで終わりかと思うと、少し寂しい気もする。
初めは、早く終わらないかと思っていたのだが・・・。
今日のデートも、正直、楽しかった。
車は宮崎平のロータリーにゆっくりと停車する。
絢乃はそこで卓海に聞かなければならないことを思いだし、口を開いた。
「・・・あの、加納さん」
「なんだ?」
「この間、給湯室で落とした髪留めですけど。あれって・・・」