蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
絢乃の言葉に、卓海は怪訝そうに眉根を寄せた。
やがて思い出したように、絢乃を見る。
「・・・あれか。あれはオレが持ってる」
卓海の言葉に、絢乃はほっと胸を撫で下ろした。
───よかった。
絢乃は卓海を見、口を開いた。
「あれ、大事なものなんです。今度、返してもらってもいいですか?」
「大事って・・・どういうことだ?」
「あれは、2年前の誕生日に慧兄がくれたもので・・・」
と言いかけた絢乃だったが。
卓海の顔がみるみるうちに険しくなっていくことに気付き、息を飲んだ。
・・・これは、あの給湯室で見たのと同じ表情だ。
背筋を強張らせた絢乃に、卓海はクッと唇の端で笑う。